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心を動かす、ということ

もう随分前のことですが、半年の間に4~5回、違う街で、違う人に、同じ言葉で、呼び止められることが続いていました。
気になり始めていたその日も、例の言葉をかけられました。「すみません。とても珍しい顔相が出ているので、お声をかけました。変化の相が出ています。今とても大事な時機だと思いますので、運命鑑定の先生のご相談を受けられませんか?30分3000円の体験コースをやっています」。
体験コースをお願いすることにして、彼女の後をついて行きました。雑居ビルの一室に着くまでの間、彼女はお話をしてくれました。「先生に出会うまでの私の人生は、地獄よりも地獄、でした。そんなひどい人生から救ってくださったのが、これからご案内する先生です。私にとって、神様より上の人なのです」。
3000円を支払い、しばらくすると、奥の部屋に案内されました。そこに、その「先生」がいました。
名前と生年月日を紙に書くよう言われ、その通りにすると、先生が鑑定を始めてくれました。
説明がきちんとされ、「なるほど、姓名判断ってそういうふうな考え方をするんだ」と納得、その後、仕事や人間関係のことを聞かれお話しすると、きちんと聴いてくれました。
これで3000円なら納得、と席を立ちかけると、「お待ちください。お話はこれからです」と、制されました。
「これからは中年期に入ってきますし、これまでになかった色々なことが起こってきます。災厄が降りかかってくるかもしれません。なぜ、災厄が降りかかるかというと、それはご先祖様のせいなのです。あなたのご先祖様が、過去に何か悪行をした、もしくは実際には行わなかったけれど心の中で悪いことを思った、それが原因となって、これからのあなたの人生に良くないことが起こってくるのです。こういう場合、一般的には、ご先祖様のお墓を新しく作られるのが災厄から免れる良い方法とされます。ですが、お墓を作るとなると、大変な費用がかかりますね。でも、大丈夫なんです。お墓をたてるのと同じくらい効果があることをお教えしましょう。それは、印鑑を作ることです。私共では、○日間念を込めて清めさせていただいて印鑑をお作りしています。お幾らとかいう問題ではありません。値段はつけられません。あなたが今出せる金額をお布施として出して頂ければ、それで良いのです」。
「ありがとうございます。ですが、私のご先祖様に悪人はいないと思っていますし、今私がこうやっていられるのもご先祖様のおかげと思っています。心の中で悪いことを思うことは、誰にでもあることだと思いますし・・・折角ですが、印鑑は結構です」。
「あなたのためを思ってお話ししています。因果を断ち切るために印鑑をお作りになることをお勧めします」
「いえ、私は印鑑は作りません」
同じようなやりとりが延々と続き、ようやく帰してもらえたのは、部屋に入って2時間後でした。
最初に案内してくれた彼女がお見送りをしてくれました。「残念です。あなたを救ってあげることができなくて…」彼女が泣いているのに、びっくりしました。「ありがとうございます。私は大丈夫ですよ」とだけ言って、別れましたが、一瞬、「印鑑を作らなかったのは、本当に間違いだったかもしれない。私は救われるチャンスを逃したのでは?」と不安がよぎりました。

この後、街で呼び止められることはなくなりました。私の写真入りのブラックリストが配布されたのではないかと疑うくらいに(笑)。
もしかしたら、運命鑑定の先生とお話をするうちに「私の人生に起こることをご先祖様や人のせいにはしないぞ」という決意が私の中で固まったのが、顔相に出たのかもしれませんね。

この出来事があって考えたことが2つ。
1つは、人の不安を煽ったり恐れを引き出したりして商売するのは恐ろしいことだ、心理学やカウンセリングも、悪意はなくてもそうなってしまう危険性が高いだろうな、余程気をつけないと・・・と、いうこと。
今ご紹介している交流分析・人生脚本という心理学理論も、過去の悲しみを引き出して、それをカウンセリングで癒すことで「救う」、その後もカウンセリングや私を崇拝し依存するようクライエント様を誘導してしまう、そんなことになったら、恐ろしい・・・だから、しつこいくらいに、ちょくちょく「過信、盲信しないで下さい」とメッセージを出さずにはいられないのです。

考えたことの2つ目は、人が「救われた」と感じるきっかけになるものは、人それぞれ、ということ。
私にとってはそうではなかったけれど、私のために泣いてくれた彼女にとっては、「先生」はたしかに「救ってくれた神様より上の人」だったのだということ。
心を動かされ救われた、と感じる材料は、その時のその人にとって、ちょうどぴったりくるものなのでしょうね。それは、道端に咲く花かもしれないし、シンガーソングライターの歌かもしれないし、小説かもしれないし、占いかもしれないし、心理学かもしれないし・・・

というわけで、これからもしばらく交流分析の話が続きますが、これだけではない、ということを、お心に留めておいていただけますように・・・
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[ 2016/11/07 10:45 ] 未分類 | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)

Author:坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)
東京・大阪でのメンタルクリニック・専門学校相談室・NPOカウンセリングルームのカウンセラーを経て、2016年4月兵庫県姫路市で「坂田カウンセリングオフィス」を開業しました。文明の利器にはめっぽう弱いというセルフイメージに打克つべくブログを始めました。よろしくお願いします。



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