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絵から心をよむということ

あるお母様が青い顔でカウンセラーに問いかけます。「うちの子がこんな絵を描いたのです。これって、心理的に問題あり、でしょうか?」。
カウンセラーがその絵をみると、画用紙いっぱいに紫色の円がたくさん。
カウンセラーはすぐに答えます。「紫色は、心の不安定や病を表す色です。お子様のセラピーをすぐに始めましょう」。

この会話をどう思いますか?

たしかに、「紫は心の不安定や病のときに表出されることが多い」という研究結果もあります。ここで注目してほしいのが、「ことが多い」という言葉です。つまり、「統計結果」「その傾向がある」「そういう場合がある」ということ。「例外も当然ある」ということです。

そもそも、描画から心理状態をよみとろうという研究は、その人・子が言葉で表現できないでいる心になんとかして近づきたい、という気持ちから出てきたもの。そもそもの気持ちを忘れて、ただマニュアル的に「紫=病」と決めつけるのは危険です。

上述のカウンセラーとのやりとりで、お母様は、もっともっと不安になるでしょう。お母様の不安がお子様にうつるかもしれません。「心の病気の子」というレッテルで、お母様にもカウンセラーにも扱われているうちに、その子は本当に心が病んでくるかもしれません。

カウンセラーは、お母様の不安な気持ちをうけとめてお話を聴きます。すると、お母様がなぜ「うちの子は心理的に問題あり」と不安になっているのかが、見えてくることでしょう。
お母様のカウンセリングでお母様の不安な心に取り組むことで解決するかもしれないし、同時進行でお子様のセラピーをすることになるかもしれません。その場合も、カウンセラーは、お子様の表現するもの(遊び、絵、箱庭など)をマニュアル的に決めつけるのではなく、そのものを感じとりたいという気持ちで、お子様と同じ時を過ごすのです。

「子どもの頃、病院やカウンセリングで、”黒いチューリップを描いたから病んでいる””怪獣が火をふいている絵を描いたから暴力性がある”と言われて、すごく傷ついた。何か心に思うことはあったのだと思うけれど、病院やカウンセリングでそれが癒されたとは思わない。二度と、人に絵を見せないぞ、病院やカウンセリングになんか、絶対に行くもんか、と思っていました」というようなお話をうち明けてくださる方もいらっしゃいます。

心を表現し、心を癒し、心を育てる絵、という本来の姿を害さないように、その心の表現そのものに寄り添う気持ちを、忘れないでいたいと思います。
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[ 2016/05/31 09:01 ] 未分類 | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)

Author:坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)
東京・大阪でのメンタルクリニック・専門学校相談室・NPOカウンセリングルームのカウンセラーを経て、2016年4月兵庫県姫路市で「坂田カウンセリングオフィス」を開業しました。文明の利器にはめっぽう弱いというセルフイメージに打克つべくブログを始めました。よろしくお願いします。



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