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脚本分析11(ドライバー)

大学生のAさん(架空の人物)は、単位取得のためのレポートを抱えていました。連日図書館にこもり、提出期限前日には、友人から「これで一冊の本になるね」と驚かれるほど、膨大で詳細なレポートが完成しつつありました。ただ、Aさんには課題の中で1つだけ不明点が残っており、「これでは提出できない」と、更に根を詰めて不明点について書籍を当たりました。しかし、いくら調べても、Aさんが腑に落ちる答えは見つかりません。「答えを見つけなければ」と焦れば焦るほど、頭は空回り。結局、Aさんは提出期限にレポートを提出せず、その科目の単位を落としてしまいました。Aさんに残ったのは、虚無感のみ。

これは、「完全であれ」のドライバーに突き動かされて行動した結果、当初の目的を達することができず、虚無感に陥ってしまった例です。
このとき、Aさんに起こっていたのは、どんなことでしょう?
まず、「完全であれ」という、どうしても止められない心の中の声がありました。そこには、「完全でないと、絶対にダメだ」「完全でないと、認められない」「ありのままであるな」という、緊張を伴い、自分が自然体でいることを禁じる心の声がありました。この緊張を伴い、自然体でいることを禁じる心の声のことを「ストッパー」と言います。
ドライバーとストッパーが働くと、緊張のために、柔軟な思考回路がストップしてしまいます。
研究室にレポートを持ち込み担当教授に不明点について質問する、とりあえず提出した後教授に教えを仰ぐ、など、「単位を取得する」という当初の目的を達成するためにとれる行動は、いくらでもあったはずなのに、「完全でないと、恐ろしいことが起こる」という緊張のあまり、思考も行動もフリーズしてしまいました。
そして、「完全である」ことができなかった自分を責め、また大学の環境を責め、嫌な気分を味わってしまいました。

このような流れを、交流分析では「ミニ・スクリプト(ミニ脚本)」と言います。
「ドライバー」と「ストッパー」が作動→柔軟な思考・行動ができない→「ドライバー」に応えられない→自分を責めたり他者を責めたりする→嫌な気分(FMP:final mini script pay off)を味わう。

そして、「ミニ・スクリプト」を次のような「OK・スクリプト」に置き換えていきましょう、と交流分析は提案します。
「ドライバー」作動→それに気づく→「アローワー(許すもの)」を心の中に置く→自由で自然体な思考・行動が可能となる→喜びを得る。

「アローワー」とは具体的には次のようなものです。

①「完全であれ」に対して→「ありのままでいいのですよ」
②「他人を喜ばせよ」に対して→「自分を大切にしていいのですよ」
③「一生懸命やれ」に対して→「それをしさえすればいいのですよ」
④「強くあれ」に対して→「自由に感情を表に出していいのですよ」
⑤「急げ」に対して→「ゆっくりしていいのですよ」

子供の頃に思い込んでしまった「自分は~でなければいけない」「もし自分が~でないと、恐ろしいことが起こる」という考えを、自分自身で修正していく方法です。何度も何度も繰り返していくことで、アローワーがしっくりと自分のものになっていきます。
「恐ろしいことが起こる」という緊張・不安が強いほど、なかなか一人では修正しにくいものです。無理はせず、ただ、頭の中に、「そういう理論もあったなあ」と置いておくだけでも、だいぶ違うと思います。

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[ 2016/08/30 10:34 ] 未分類 | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)

Author:坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)
東京・大阪でのメンタルクリニック・専門学校相談室・NPOカウンセリングルームのカウンセラーを経て、2016年4月兵庫県姫路市で「坂田カウンセリングオフィス」を開業しました。文明の利器にはめっぽう弱いというセルフイメージに打克つべくブログを始めました。よろしくお願いします。



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