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心の栄養素ストローク5

成人だけでなく、赤ちゃんにとっても、外界との接触は非常に重要であると言われています。

ルネ・スピッツという精神科医の調査報告が有名です。

2つの乳児院での赤ちゃんの様子を追跡調査したもの。
清潔で設備が整っているけれど、ケアする人が少なく、また赤ちゃん同士が触れ合う機会もない乳児院で育った子どもと、十分な設備はないけれど、ケアする人が十分にいて、赤ちゃん同士が自然に触れ合う機会も多くある乳児院で育った子ども。
後者に比べて前者では、身体的にも情緒的にも問題を抱えているケースが多く、死亡率も高いことが、報告されました。

また、これは20年ほど前に交流分析協会で学んだときにテキストにあったお話です。

病院に連れてこられた1歳10か月の女の子、スーザン。
このとき、体重は一般的な5か月児の体重、身長は一般的な10か月児の身長で、ハイハイすることも片言を喋ることもできない状態でした。
人が近づくと泣いて、抱かれたり触れられたりすることを嫌がりました。
それ以外の感情表現は乏しく、常同行動(体をゆする)をするばかり。
検査をしても、医学的には発育不全の理由は見つかりませんでした。
入院以来、誰も見舞いに来なかったため、ソーシャルワーカーが両親に連絡をとり面会。
スーザンは、両親に望まれて生まれてきた子ではなく、世話もほとんどされてこなかったことが、わかりました。
病院では、スーザンの病名を「母性的な愛情欠乏症候群」と名付け、発育不全の原因を「ストローク不足」と判断しました。
そして、病院は、一日6時間週5日、スーザンを抱いたり言葉をかけたりするだけのボランティアを用意しました。
それから3週間半、目覚ましい変化がスーザンに現れていました。
知らない人にも怖がらないで接するようになり、食事を自分で食べようとし、それを楽しんでいるようでした。
2か月後には、体重は2.7㎏増え、身長も約5㎝の伸び、同年齢の赤ちゃんの成長スピードの4倍という驚きの成長を遂げました。心理的にも、受動的から自発的に変化し、人に打ち解けるようになりました。
この様子は、「セカンドチャンス」という記録映画に残されているそうです。

心も体も、他者との温かい交流の中で、育っていくのですね。



[ 2018/06/06 08:21 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

心の栄養素ストローク4

「廃用症候群(生活不活発病)」というと、寝たきりのために筋力が落ちるなど身体機能が低下するというイメージが強いですが、ほとんどの時間を独りで過ごし趣味や役目・生きがいを持たないときに脳の機能が低下する、ということも、含まれます。うつや認知症のような症状が出ることもあります。

先の「感覚遮断実験」でも、実験直後の計算問題や知能テストで成績が著しく低下したことが、報告されています。

初めてお会いしたときには、廃用症候群のために、目は虚ろで表情も乏しく、HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール・認知症のスクリーニングテスト)で低得点だった方が、お会いしていくうちに、表情が出てきて口数も増え、HDS-Rでも得点が上がった、ということもありました。

寝たきりの方の脚や腕をさすることも、血流を良くするということの他に、「あなたの存在を大切に思っていますよ」というメッセージを伝えるという意味もあり、そのメッセージが伝わった患者さんは生きようとしてくれるのだ、と看護師さんに聞いたこともあります。

私たちが、健康に生きていくためには、体にも脳にも、適度な刺激、ストローク(今ここに自分が存在しているということを実感できる何か)が、必要なのですね。
[ 2018/06/04 09:24 ] 未分類 | TB(0) | CM(4)

心の栄養素ストローク3

1950年代に行われた「感覚遮断実験」というものがあります。

被験者は、高額の日当で応募してきたカナダの大学生たちでした。
どんな実験かというと、目には半透明のゴーグル、耳には音を聞こえにくくする装具、腕には厚紙の筒を着けて、個室で一人、何もしないでベッドで寝ていてもらう、というもの。食事もきちんと用意され、室内の温度・湿度も調節された、ノンストレスの状態。
最初のうちは、被験者たちは、快適な眠りについたそうです。
しかし、そのうちに、行動が落ち着かなくなり、独り言が多くなったり、口笛を吹いたりするようになりました。また、室外に居る実験者と話をしたがるようになり、そのためにインターフォンを使う回数が増えました。
やがて、幻聴や幻視が現れるまでになり、実験は期間の途中で中止となりました。

外界との関わりが最小限に制限されると、自己刺激によってなんとか自分の存在を見失わないようにしようと努力するものの、長時間にわたると正常な精神状態を保っていられなくなるのですね。
また、外界との適度な接触を求める性質が人間には備わっているのだということも、わかります。

外界の刺激を受け取ることで、「今ここに自分が存在しているという実感を持つこと(ストロークを得ること)」ができるのですね。




[ 2018/06/01 08:29 ] 未分類 | TB(0) | CM(4)
プロフィール

坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)

Author:坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)
東京・大阪でのメンタルクリニック・専門学校相談室・NPOカウンセリングルームのカウンセラーを経て、2016年4月兵庫県姫路市で「坂田カウンセリングオフィス」を開業しました。文明の利器にはめっぽう弱いというセルフイメージに打克つべくブログを始めました。よろしくお願いします。



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