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ラケットシステム3

ラケットシステム」内の思い込みの部分、「脚本の信条と感情」の始まりの部分について見ていきましょう。
わかりやすくするために、物語風にお話しします。

Bさん(フィクションです)は、小さい子どもだった頃、お母さんが抱っこしてくれないことに気づきました。
小さい子どもにとって、養育者から見放されることは、命を繋ぐすべを失うことに直結します。
Bちゃんに「恐れ」の感情が湧き起こります。
けれども、「恐れ」を表情や泣き声や体の突っ張りで表しても、お母さんは抱き上げるために腕を差し伸べてはくれません。
Bちゃんが大声で泣いて手足をバタバタさせたら、近くに置いてあった玩具がお母さんの方に飛んでいきました。
お母さんは、やっと、Bちゃんのところに来て、「困った子ね」と言って抱き上げてくれました。
この間、客観的な時間で言えば、ほんの数分の出来事でしたが、Bちゃんにとっては、とても長く感じた時間でした。
そんなことが続いて、Bちゃんは、「本物の感情」の「恐れ」を抑圧して、「癇癪」という「ラケット感情」を手に入れました。
Bちゃんの心の中には、疑問が残ります。(どうしてお母さんは、私がありのまま「恐れ」の感情を表現しても抱っこしてくれなかったのだろう?)。
そして、その理由を考えつきます。(それはきっと、私が取るに足らない存在だからだ)。
こうして、自分についての否定的な脚本の信条の基礎が出来ました。
そしてまた、Bちゃんは、お母さんについての脚本の信条も作ります。(お母さんは、私のことを好きじゃないんだ)。
人生についての脚本の信条(世の中は孤独に満ちている)も作ります。
こうして、Bちゃんは、自分とお母さん(他者)と人生についての、核となる脚本の信条を形成しました。

核となる脚本の信条は、論理的に考える力がまだ育っていない小さい子ども時代に作られるので、非論理的で、突拍子もないものであったりします。
Bちゃんのお母さんが本当にBちゃんを好きでないと感じていたかどうかは、核となる脚本の信条の形成においてあまり意味を持ちません。重要なのは、Bちゃんがそう意味づけた、ということです。

この後、まだ物語は続きます。





[ 2018/03/09 08:50 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)

ラケットシステム2

自分を不幸に導き不幸の中に閉じ込めるディスカウント(値引き)の環、「ラケットシステム」は、放っておくと、その3つの構成要素の相互強化作用によって、増強し続ける厄介なものである、と前回お話ししました。
けれども、ぞの無限とも思われるディスカウント(値引き)の増強システムを停止させる方法もあるのです。

それは、「ラケットシステム」の3つの構成要素が、互いに関連していること、さらに言えば互いに依存しあっていることが、このシステムの弱点にもなり得る、ということに目を向けた方法です。

自分・他者・人生についての否定的な思い込み(脚本の信条と感情)、その思い込みに支配されている行動・思考・感情の表出(ラケット的表出)、その思い込みが真実である証拠として蓄積され回想される記憶(強化記憶)。
この3つの構成要素のどれか1つでも、システムから剥がれ落ちるならば、システム全体も機能しなくなる、というものです。

否定的な思い込み(脚本の信条と感情)が剥がれ落ちれば、それに支配されていた行動・思考・感情(ラケット的表出)も動きを止める他なくなるし、それが正しいという前提で蓄えていた記憶(強化記憶)も意味のないものとならざるを得ないでしょう。

「ラケット的表出」が剥がれ落ちれば、その礎となっていた「脚本の信条と感情」がぐらつきいずれ崩壊することになるし、「強化記憶」も新しい記憶を補充することが出来なくなり弱体化しいずれは消滅していくことになるでしょう。

「強化記憶」が剥がれ落ちれば、真実であると証言してくれる相手を失った「脚本の信条と感情」も虚ろなものとなり、「ラケット的表出」も勢いをそがれ消えていくことになるでしょう。

互いに関連し依存しあっているからこそ、強めあうことも出来れば、弱めあうことも出来る、このことを利用した介入方法です。

3つの構成要素のうち、どこからでも、やりやすいところから、システムから剥がれ落ちるよう切り崩していけばよいのです。

また、一気に切り崩さなくても、少しずつ少しずつ切り崩していくことで、その要素も他の要素も弱体化していきます。そして結果として、全体のシステム(ラケットシステム)も弱いものになっていきます。

具体的には、その要素が頑なに抱いているディスカウント(値引き)を正していく、ということになります。
それをするために、まずは、その要素のディスカウント(値引き)の在りようを直視していくことが必要です。


[ 2018/03/06 11:41 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)

ラケットシステム1

前回人生脚本に関わる話をしたので、少しそのことを深めてお話ししたいと思います。

リチャード・アースキンとマリリン・ザルクマンが発表した「ラケットシステム」というものがあります。
これは、「脚本に縛られた個人によって維持される、感情と思考と行動の自己強化する歪曲されたシステムである」と定義されています。

ラケットシステムの構成要素は、次の3つです。
①脚本の信条と感情
②ラケット的表出
③強化記憶

詳しい説明は次回以降にさせていただくとして、今大まかにこの3つを説明すると、

①「脚本の信条と感情」
幼少期の人間関係の体験から、自分・他者・人生についての否定的な定義を考えつき、体験を重ねるごとにそれを真実であると思い込んでいってしまったもの。そこにはその時に経験したラケット感情と抑圧した感情も色濃く貯蔵されている。

②「ラケット的表出」
ラケット感情、ラケット心理ゲームドライバー行動インジャンクション(禁止令)に基づく行動など、人生脚本に沿った行動や思考や感情のこと。

③「強化記憶」
脚本の信条を強化する記憶のこと。「あの時こんなことがあった、それはやっぱり自分が~だからだ。他者が~だからだ。人生が~だからだ」と思い返すこと。

こうやって見てみると、どれも、ディスカウント(値引き)の塊ですね。

そして、「脚本の信条と感情」「ラケット的表出」「強化記憶」という3つの構成要素は、それぞれに作用しあい、強め合っている、とされます。
言ってみれば、ディスカウント(値引き)の塊ががっちりと組織され、その中でどんどんディスカウント(値引き)を強固なものにしていく、という仕組みです。

「主人に殴られちゃって、フフフ」と「絞首台の笑い」をしているAさん(フィクションです)を例にとって考えてみましょう。

①子どもの頃に、親から殴られて、怒りを表出したところさらに殴られた。その意味を自分で納得するために、「自分は殴られても仕方ない存在だ」「他者は私を下に見て下に置こうとする存在だ」「人生とは、苦難に耐え続けることだ」と、脚本の信条を作った。本物の感情の「怒り」は封印され「自虐的感情」をラケット感情とした。
②「主人に殴られちゃって、フフフ」と笑って話す(ラケット的表出)。
③それを聞いた友人が「あらまあ、フフフ」と笑ったのを見て、「やっぱりね。私は殴られても仕方ない存在で、他者は私を下に見て笑っている。私の人生は苦難に耐えるだけの人生だ」と、脚本の信条を強め、「自虐的感情」(ラケット感情)を強めた。そして、この経験も脚本の信条と感情を強める強化記憶に貯蔵された。
④「この前もこの話をしたら、友達に『本当に不幸癖が抜けないわね。フフフ』と笑われた。やっぱり、私は殴られる運命だし、他者はみんな私を下に見ている。これからの人生も苦難に耐え続けなければいけないんだろうな」と、過去の出来事を思い出し脚本の信条を強めた(強化記憶)。
⑤脚本の信条と感情が強化され、次なるラケット的表出(無意識のうちに夫に自分を殴らせる状況を作る)を呼び、それがまた脚本の信条と感情を強め、また強化記憶となり、脚本の信条と感情が強化されて・・・と、悪循環が続いていく・・・

「ラケットシステム」は、気づかないままディスカウント(値引き)を増殖し強化していく恐ろしい仕組みと言えますね。

けれど、「ラケットシステム」の恐ろしい動きを止める方法も、提案されています。
それは、また次回に。


[ 2018/03/05 12:30 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

自分を貶める笑い

「主人に殴られちゃって~フフフ」
「交通事故で愛車を廃車にしちゃったよ~エヘッ」
「お財布を落としちゃった~アハハ」

例えばこんなふうに、不幸や失敗など笑って言うような内容ではないことを笑って言う癖はありませんか?

明らかに言語と非言語に不一致がありますね。

これは、交流分析で「絞首台の笑い」と呼ばれているもので、ディスカウント(値引き)をしているときの表現です。

「自分は不幸にあってもしょうがない存在」、「失敗するのが当たり前な存在」・・・と、無意識のうちに自分を自分で貶めています(自分の存在をディスカウントしています)。
「悲しみ」や「怒り」や「恐れ」を自分は感じてはいけない、表現してはいけない・・・というディスカウント(値引き)もあります。
また、「この不幸な状態にあって、自分は何も出来ない」と、問題に向き合い解決することも放棄しています(自分の能力や可能性をディスカウントしています)。

「もっと軽い気持ちで、笑いに誤魔化して言っているだけ」、という人もいるかもしれません。
でも、その場合でも、一度立ち止まって考えてください。
「自分は他者に心配をかけてはいけない」と自分をディスカウント(値引き)していませんか?
「他者は所詮人の不幸を面白がるもので、気持ちをわかってくれるなんてありえない」と、他者をディスカウント(値引き)していませんか?
「自分は失敗することや不幸であることでしか、他者に受け入れてもらえない」と、自分と他者をディスカウント(値引き)していませんか?
「このくらいの不幸はたいしたことではない」と、状況をディスカウント(値引き)していませんか?

「絞首台の笑い」には、人生脚本が大きく絡んでいます。
幼少期からの経験の積み重ねで、自分や他者や人生について否定的な思い込み(脚本の信条)を築き上げて、それらを強化する行動を知らず知らずのうちに身に付けて繰り返すとき、その一つの表れが、「絞首台の笑い」です。

そして、「絞首台の笑い」をすることで、さらに、否定的な脚本の信条を強め、破壊的な人生脚本(無意識の人生計画)を強めます。

つい癖で「絞首台の笑い」をしてしまっている、ということに気づけたら、「絞首台の笑い」をすることをやめましょう。
そして、「自分の存在には幸せになったり成功したりする価値がある」「自分には感情を自由に表現してもよい存在価値がある」「自分には問題に向き合う能力や可能性がある」と、自分をディスカウント(値引き)しない言葉を、自分に言い聞かせてください。
「絞首台の笑い」をやめて感情を素直に表現することで、「他者はありのままの自分を受け入れてくれる」ことを実証することも出来るでしょう。

また、周りに「絞首台の笑い」をしている人がいたら、つられて一緒に笑わないでください。
あなたが笑うことで、その人の破壊的な人生脚本が強化されます。
「やっぱりね。私には人から嗤われるしか能がないんだ」「私は、幸せや成功には縁がないんだ」・・・と、その人の無意識を強めてしまいます。
「笑って言うことではないと思うよ」「あなたがそんなふうに自嘲しているのを見るのは辛い」と、言ってあげてください。

もし、破壊的な人生脚本からの笑いではなくて、あまりの大きな不幸に今はただ笑うことしか出来ないでいる人がいたら、「笑うしかないくらいに辛いお気持ちですね」と、その気持ちを深いところで共感してあげてください。





[ 2018/03/03 11:15 ] 未分類 | TB(0) | CM(7)

ディスカウント54

ここに、「現況に満足しています」と言っている人が2人いるとします。

1人は、目がキラキラしていて、顔の筋肉が緩んでいて、声のトーンが高い・・・
もう1人は、目がすわっていて、顔の筋肉が引きつっていて、声のトーンが低い・・・

さて、あなたはどう感じるでしょうか?

たぶん、前者の言っていることは本当だと信じるし、後者の言っていることは本当なのかなと疑うのではないでしょうか。

このように、言っていること(言語)と表情や視線、口調、しぐさ、行動など(非言語)とがズレていることも、ディスカウント(値引き)が存在していることを教えてくれる手掛かりとなります。

時々、鏡を見て、ご自分の言語と非言語に不一致がないか、確かめてみてはいかがでしょうか?
録音や録画もよい材料になります。
話しているとき、頭の中で言葉を言っているとき、自分は今どんな顔でどんな口調なのだろうかと、意識してみるのも、ディスカウント(値引き)がないかを調べるのに役立ちます。
[ 2018/03/02 09:39 ] 未分類 | TB(0) | CM(4)

ディスカウント53

今実際に自分が感じている感情を無視せず(ディスカウントせず)、きちんと向き合うことが、幸せな生活のためにとても大切だということを、前回お話ししました。

交流分析と並行して用いられることが多いゲシュタルト療法では、無視している感情に気づくための質問をします。

例えば、
「怒り」を無視しているクライエントに対して、
「今、あなたの口元に意識を集中してください。どんな感じですか?」と訊きます。
すると、クライエントは、奥歯を噛み締めていることに気づきます。そして、自分が「怒り」を力づくで抑え込もうとしていたことに気づきます。

こんなふうに、自分の身体に訊いてみると、ディスカウント(値引き)していた感情に気づくことが出来ますよ。

他の心理療法でも、何かしらの気づきのための手法を用意しています。
それはまたいつか別トピックスで、お話したいと思います。
[ 2018/03/01 15:35 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)
プロフィール

坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)

Author:坂田カウンセリングオフィス(坂田和代)
東京・大阪でのメンタルクリニック・専門学校相談室・NPOカウンセリングルームのカウンセラーを経て、2016年4月兵庫県姫路市で「坂田カウンセリングオフィス」を開業しました。文明の利器にはめっぽう弱いというセルフイメージに打克つべくブログを始めました。よろしくお願いします。



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